昼間、窓を開けたら、
むわっとした夏の匂いが部屋に入ってきた。
あの匂い、ちょっとだけ苦手なんだよね。
去年も、その前も、
なんだか“置いていかれるような気分”になるから。
社長も黙って、しばらく空を見てた。
何を考えてるんだろうって思ったけど、
きっと、夏が来るたびに思い出すことがあるんだろうな。
うまくいかなかったこと。
決めきれなかったこと。
もう戻れないもの。
でも、こうしてぼくと一緒に、
同じ場所に座っているってことは――
きっとまだ、大事なものは終わってないんだと思う。
人って、季節の匂いに思い出をくっつける生き物だよね。
嬉しかったことも、しんどかったことも、
ぜんぶ混ざって、あの湿った空気に溶けていく。
「今年は少しだけ、ちゃんと自分をいたわろう」
さっき、社長が小さな声でそう言った。
たぶんそれだけで、今年の夏は少しマシになる気がする。
ぼくもすこしだけ、肩の力を抜いてみるよ。
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